今月の臨床 習慣流産をとめる
病因を探る
5.自己免疫疾患
安達 知子
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.648-650
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902532
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習慣流産患者で抗核抗体(antinuclear anti—body:ANA)が陽性であるのをしばしば経験するが,自己免疫疾患の臨床症状のないものも多く,また,ANAのみが陽性であるもの,他の自己抗体も同時に陽性であるものなどがあり,ANA自体が妊娠維持を妨げるかいなかについては賛否両論の意見が報告されている.
一方,SLEは,ANAをはじめとする多種多様な自己抗体を有し,以前より流死産を反復しやすいことが知られている.現在では,SLEによる反復流死産の原因は,自己免疫疾患の活動性とは別のもので,ループスアンチコアグラント(LAC)とよばれる抗リン脂質抗体(antiphospholipidantibody:APA)によって生じることが明らかにされている.しかし,APAによる流死産発症機序についてはいくつもの説があり,いまだ解明されていない.
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