今月の臨床 習慣流産をとめる
病因を探る
2.胎児の染色体異常
前田 徹
1
1北里大学病院産婦人科
pp.638-640
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902529
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臨床的に認知される妊娠のおよそ15〜20%が自然流産に終わるといわれている.その胎児側原因としては胎芽あるいは胎児自身の染色体異常が最も頻度の高いものであることはすでによく知られており,その頻度はおよそ50%といわれる.染色体異常をもつ個体の多くは妊娠早期に排除される.また,妊娠中期から後期にかけて約1%の妊娠が死産に終わり,その4〜5%にも染色体異常が発見される.この時期に発見される異常は21,18, 13トリソミーなどが大部分を占め,その頻度は新生児期の頻度の約10倍に相当する.この事実はこれらの染色体異常をもっ胎児は妊娠中期から後期に至るまでの間にも厳しい淘汰を受けていることを意味する.
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