症例
CarboplatinとEtoposide併用により病巣の縮小が得られた卵巣癌小脳転移の1例
高田 眞一
1
,
田北 晴子
1
,
井上 純
1
,
田村 彰浩
1
,
森 宏之
1
1帝京大学医学部産婦人科
pp.219-222
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902433
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卵巣癌の化学療法の進歩は予後の改善をもたらし,これまでまれであった中枢神経への転移の報告が散見され,治療法の確立が早急に望まれている.われわれは,小脳転移をきたした卵巣癌に対して化学療法を行い,腫瘍縮小と症状の改善を得た1例を経験した.患者は,71歳.試験開腹で,卵巣癌IIIC期(漿液性乳頭状腺癌)と判明し,化学療法(CPA, Epi-ADM, CDDP)5クール施行後に縮小手術を行った.1年経過後,めまい,頭重感,食欲不振,歩行障害が出現した.腹腔内に再発なく,頭部MRIで左小脳に直径約3cm余の転移巣を認めた.Carboplatin(以下,CBDCA)とetoposide(以下,Et)併用全身投与を行い,薬剤投与後1週間で自覚症状が改善し,歩行可能になった.3クール後の縮小率は90%で,partial response (PR)の効果判定を得た.卵巣癌脳転移に対してCBDCAとEt併用の有効性が示唆された.
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