症例
モヤモヤ病合併妊娠の1例
三宅 敏一
1
,
平野 浩紀
1
,
出口 圭三
1
,
渡辺 博史
1
,
幡 洋
1
,
岡部 泰樹
1
,
野村 靖宏
1
,
南 邦弘
1
,
金上 宣夫
1
,
山本 哲三
1
,
若松 章夫
2
,
秋原 実
2
,
小笠原 俊一
3
1札幌東豊病院産婦人科
2札幌東豊病院小児科
3禎心会病院脳神経外科
pp.215-218
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902432
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
モヤモヤ病は日本人女性に多発する原因不明の脳血管閉塞症である.今回我々は,本疾患を合併した妊婦で脳卒中を発症せずに帝切にて生児を得た1例を経験した.患者は25歳の初妊婦で7歳時,意識障害,痙攣発作を認め,モヤモヤ病と診断され投薬を受けた.15歳時にも痙攣発作をみたがそれ以降は無症状であった.
今回,妊娠15週にて当科へ転科となり,妊娠29週時のMRI, MR angioで古い梗塞,およびモヤモヤ血管を認めたが新鮮な出血巣はみられなかった.妊娠33週,妊娠中毒症にて入院管理とし,妊娠38週,帝切にて無事分娩を行った.分娩方法を帝切としたのは経腟分娩時の過呼吸による脳血管攣縮や,血圧上昇による脳出血を回避するためであった.麻酔は意識を残し,神経学的所見をモニターでき,また術後疼痛対策のため腰椎麻酔と硬膜外麻酔の併用とした.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.