今月の臨床 妊婦の糖尿病マネジメント
分娩後の管理・フォローアップ
1.乳汁分泌異常
井川 洋
1
,
青野 敏博
2
1高知赤十字病院産婦人科
2徳島大学医学部産婦人科
pp.188-189
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902423
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臨床成績
産褥の乳汁分泌の開始とその確立には,複雑な内分泌機構の巧妙なバランスが要求される.乳汁分泌に関与するいくつかのホルモンのうち一つでも分泌動態に異常が起こると,乳汁分泌不全が招来される.インスリンは妊娠中の乳腺細胞の分化および増殖に不可欠のホルモンであるが,最近,インスリンの相対的,あるいは絶対的不足の状態である糖尿病が妊娠に合併したとき,乳汁分泌に異常が起こることが明らかになってきた.
図1は徳島大学附属病院で過去5年間に分娩した妊婦のうち,糖尿病と診断された20名と無作為に選んだコントロール20名の産褥5日間の乳汁分泌量の推移を比較したものであるが,糖尿病を合併した妊婦は産褥早期より乳汁分泌量の増加が不十分な傾向にあった.さらに産後1か月健診時の調査で母乳栄養の確立度も低い傾向にあった1).
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