症例
子宮腟部原発と考えられる悪性リンパ腫の1例
藤井 多久磨
1
,
太田 邦彦
1
,
菊地 正晃
1
,
隅田 能雄
2
,
木口 一成
2
,
照井 仁美
2
,
長谷川 寿彦
1
,
野澤 志朗
2
1国立栃木病院産婦人科
2慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.109-112
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902403
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我々は子宮腟部原発と考えられる悪性リンパ腫の1例を経験した.症例は黄色帯下を主訴として来院した67歳の女性である.その子宮腟部擦過細胞診では,小型の過染核を有する細胞が出現し,小細胞非角化型扁平上皮癌,濾胞性頸管炎,未分化癌,肉腫などと鑑別を要す細胞像を示した.子宮膣部より採取した生検組織のHE標本と免疫組織化学的検索の結果から,LSG分類による,びまん性,大細胞,B細胞型の悪性リンパ腫であると診断された.
子宮原発の悪性リンパ腫は比較的晩期に発見されることが多く,臨床病期が進んだ症例では治療を開始しても1年以内に死亡する症例が多い.したがって,細胞診のスクリーニングにおいては,本疾患の細胞像を十分理解しておくことが,早期発見のためにはきわめて重要であると考えられた.
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