症例
母体血中テストステロン高値を示したステロイド細胞腫瘍合併妊娠の1例
津村 宣彦
1
,
菊地 研
1
,
首藤 聡子
1
,
山下 陽一郎
1
,
川口 勲
1
,
山口 潤
2
,
津田 加都哉
3
,
角江 昭彦
3
1帯広厚生病院産婦人科
2帯広厚生病院病理部
3滝川市立病院産婦人科
pp.1681-1683
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902370
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ステロイド細胞腫瘍の発生頻度は全卵巣腫瘍の0.1%とまれな腫瘍であるが,この腫瘍が妊娠に合併するのはきわめてまれである.今回,我々は母児共に男性化徴候を呈したステロイド細胞腫瘍合併妊娠を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
症例は24歳,2妊未産.妊娠中より低声音,多毛,陰核肥大を認め術後の病理組織検査でステロイド腫瘍と判明し,免疫染色で腫瘍よりのテストステロン分泌を確認した.術前2,660ng/dlと高値であったテストステロンは術後急速に低下し現在1年半経過しているが,正常範囲内で推移しており,また再発徴候もなく,母児共に順調に経過している.母親はもとより,妊娠中長期間高テストステロン状態にさらされていた児の第二次性徴など生殖生理面に関しても十分な経過観察が必要と思われる.
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