原著
過去15年間の脳性麻痺の推定要因
嶋本 富博
1
,
立山 浩道
1
,
濱田 恵亮
2
,
三宅 和昭
2
1宮崎県立宮崎病院産婦人科
2宮崎県立宮崎病院小児科
pp.1675-1680
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902369
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1980(昭和55)年1月より1994(平成6)年7月までに当科で出産した10,305例のうち死産・周産期死亡174例を除いた10,131例を対象として,脳性麻痺の有無,脳性麻痺児の妊娠・分娩時の異常の有無について検討した,その結果19例の脳性麻痺(188/1,000人)を認めた.19例中4例は何ら妊娠・分娩経過中の異常は認めなかった.3例(15.8%)は分娩中に高度の低酸素状態が生じ,脳性麻痺との関連性が疑われた.また分娩中のみ異常を認めたがその程度は軽度で,分娩異常以外の要因の存在も考えられた症例は3例,クレチン症・West症候群という基礎疾患を認めた症例は2例,妊娠中に重症妊娠中毒症・重症貧血を認め,分娩時に異常を認めないことから,妊娠中にすでに脳性麻痺が形成された可能性のある症例は2例であった.早産は2例で,その1例は胎内感染を伴っており,未熟性と感染などの要因が複合して脳性麻痺が発症したと考えられた.
残り3例は2例が妊娠中毒症,1例は羊水過少の異常があり,分娩時には胎児低酸素脳症を示唆する所見はなく,陣痛発来時に胎児心拍数モニタリングの異常を認め,妊娠中に脳性麻痺が形成された可能性が考えられた.
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