今月の臨床 いまなぜ“胎児仮死”か
胎児仮死を見逃さない
2.妊娠・分娩時の胎児仮死
2)ノンストレステストとストレステスト
名取 道也
1
1国立大蔵病院臨床研究部
pp.1626-1628
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902356
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
分娩は病気ではなく生理現象であることも,40年前には周産期死亡率は現在の8倍であったことも,共に事実である.この間の周産期死亡率,新生児死亡率の向上に最も寄与したことは,社会・経済的基盤の向上に基づいた公衆衛生的背景であろう.では産科学の進歩はどのように貢献したのであろうか.陣痛心拍数図を用いた「胎児仮死」の診断法はどの程度貢献したのであろうか.ダブリンスタディーは,その医学的評価は別として,新しいテクノロジーがそれ単独で,すなわち社会・経済的基盤に基づいた公衆衛生的背景を抜きに,どの程度医療に貢献したのかについて感覚的に判断してはいけないとの警鐘を鳴らしたという点で重要である.CTGの利用が,分娩中,妊娠中共に当然と言われる時代になったからこそ,この方法の持つ精度を正しく理解することが求められる.なおストレステストにはoxytocin challengetest(OCT)の他にnipple stimulationなどがあるが,ここではストレステストの代表としてOCTについて述べる.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.