今月の臨床 無排卵—病態と治療をめぐるトピックス
新しい病態を探る
6.PCOとインスリン抵抗性
田辺 清男
1
,
岸 郁子
1
,
浜谷 敏生
1
,
杉原 一廣
1
,
北岡 芳久
1
,
斎城 綾子
1
,
野澤 志朗
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.1488-1490
発行日 1995年11月10日
Published Date 1995/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902323
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PCOS(polycystic ovary syndrome;多嚢胞性卵巣症候群)は,両側卵巣の多嚢胞性腫大を基とする症候群であり,当院においても月経異常を主訴に来院する患者のうちの約22%を占めている1).月経異常(稀発月経や無月経など)以外の臨床症状としては,不妊,男性化徴候,肥満などがある.また,内分泌検査値では,血中LH基礎値の高値,FSH値正常,LH/FSHの異常高値などが主にあげられる(表)2).男性化徴候は,多毛などの臨床症状や,血中テストステロンやDHEA—Sなどのアンドロゲン高値で判断される.
一方,インスリンの標的細胞の異常によるインスリン感受性の低下,すなわちインスリン抵抗性が,PCOSの患者に見られることが最近言われている.また,アンドロゲン過剰状態とインスリン抵抗性によるインスリン過剰状態との関連も示唆されている3).
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