今月の臨床 経腟超音波を使いこなす
産科での活用
14.既往・前回帝王切開例—子宮下部の観察
佐久本 薫
1
,
ビルキッシュ コレシ
1
,
金澤 浩二
1
1琉球大学医学部産科婦人科
pp.498-504
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903240
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既往・前回帝王切開例の臨床的問題点
・近年,わが国においても帝王切開率は年々増加しているが,その帝王切開の適応をみると,約3分の1は前回帝王切開であり,反復帝王切開例の著しい増加が認められる.言うまでもなく,既往帝王切開創の瘢痕破裂を恐れる結果である.しかし,帝王切開術は必ずしも安全な手術ではなく,手術時の麻酔事故,出血や感染を増加させ,また,産褥期の母児接触にも負の影響を及ぼすことになる.このためにそのような帝王切開を減少させることを目的として,VBAC(vaginal birth after cesarean section)が試みられ,合衆国においては1985年にACOG(Amer—ican College of Obstetrician and Gynecolo—gists)によりそのガイドラインが提唱されている.これまで,VBACの成功率は60〜80%1,2),一方,子宮破裂の頻度は0.3〜3.8%と報告されている3-5).
・VBACを試みるに際して,産科既往歴および当該妊娠経過を詳細に検討することは当然であるが,最近,子宮下部の前回帝王切開創に相当する部位を超音波断層法にて観察し,その治癒状態を評価することが,子宮破裂へのリスク症例を選別するうえに有用な情報になるとの報告がなされている.
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