今月の臨床 婦人科癌の免疫療法
癌と免疫—基礎知識
3.癌の進展に伴う免疫能の変化
藤原 大美
1
1大阪大学医学部バイオメディカル教育研究センター腫瘍発生
pp.810-814
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902171
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生体を構成している細胞が,生体防御,炎症反応を起こし生命現象を維持していくために,サイトカインは重要な役割を担っている.サイトカインは単一なものでも多種多様の生理活性を有している.また,同じ物質が多種類の細胞から産生され,標的細胞も多彩であることが明らかになっており,生体中で複雑なネットワークを構築している.このネットワークはサイトカインの多様性のために,正常個体においてさえ,その全容が明らかとなっていない.さらに担癌宿主においてはサイトカインネットワークに異常が生じ,その結果免疫抑制機構が作動し,この免疫抑制の一環として抗腫瘍免疫応答が抑制されてゆく.今回,担癌宿主では癌の進展に伴い,どのような機構で抗腫瘍免疫応答が抑制されてゆくかについて概説してみたい.
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