今月の臨床 婦人科癌の免疫療法
1.Editorialにかえて—現況と展望
田中 憲一
1
1新潟大学医学部産婦人科
pp.798-804
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902169
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生体は外界からの侵入物はもとより,生体内に生じた,腫瘍細胞やウイルス感染細胞などの異物に対してもそれを処理し,排除しようとする生物学的応答力を有している.この応答力はいわゆる免疫応答で説明され,がんの免疫療法として発展し,非特異的免疫賦活剤,サイトカインの登場となった.
1970年代に登場した腫瘍免疫はヒトがん細胞排除に働く細胞傷害性T細胞,NK細胞などのエフェクター細胞の存在と機能を明らかにし,さらに最近の遺伝子工学の進歩は,これらエフェクター細胞の産生するサイトカインの大量産生を可能にし,これらのサイトカインを用いて,宿主の免疫反応性を活性化することでがん治療効果をたかめようとする試みが生まれてきた.他方,ヒトのがん細胞抗原に対するモノクローナル抗体の作成は,がん細胞と正常細胞の選択をもたらすものと期待され,この抗体に抗がん剤あるいは細胞毒を結合させるミサイル療法が発展した.
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