今月の臨床 妊娠と血液
3.妊娠と線溶
島田 逸人
1
1神戸市立中央市民病院産婦人科
pp.558-563
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902112
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●はじめに
線溶反応とは,もともと線維素(フィブリン)を溶解する反応という意味で使用されていたが,最近では線溶反応に関わる因子がフィブリン溶解以外に細胞の移動,組織の再構築,排卵,着床,癌の転移といった組織における生体反応に重要な働きを果たしていることが明らかになってきた.実際その生体反応の現れなのか子宮胎盤系においては,凝固,線溶の双方が驚くほど亢進していることが判明している1).本稿では,この子宮胎盤系を踏まえて妊娠時における線溶状態を考察するが,近年目覚ましい展開を示す線溶機序についても解説する.
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