CURRENT RESEARCH
子宮体癌における複合糖質の発現異常とその浸潤・転移に及ぼす影響
久布白 兼行
1
,
塚崎 克己
1
,
野澤 志朗
1
1慶應義塾大学医学部婦人科
pp.225-239
発行日 1995年2月10日
Published Date 1995/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902047
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細胞膜に存在する複合糖質は,細胞の増殖,分化,癌化などに伴って変化し,また癌の転移過程において重要な役割を担っていることが明らかになっている.現在,複合糖質に関する研究は「糖鎖病理学」あるいは「糖鎖生物学」とよばれる新しい分野が確立し,また「第三の分子生物学」としてその重要性は認識されている.われわれは従来より女性性器における複合糖質の解析とその生物学的意義について研究を行ってきた.とくにわれわれが作成した抗子宮体癌モノクローナル抗体MSN−1の認識抗原が血液型糖鎖であったこと,またMSN−1抗体が体癌に特異性の高い抗体であることから,複合糖質の重要性に着目し,MSN−1を用いた体癌の細胞生物学的研究を中心として研究を進めてきた.近年体癌は増加傾向にあり,その細胞生物学的特性はほとんど解明されていないが,本稿で紹介する子宮体癌に発現される複合糖質とその浸潤・転移に関する基礎的解析が体癌の臨床に—灯を点じるものと期待している.
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