Japanese
English
原著
ハイポキシア,ハイパーカプニア負荷が心筋糖質代謝に及ぼす影響
The Influence of Hypoxia and Hypercapnia on the Myocardial Carbohydrate Metabolism
脇坂 順一
1
,
村上 直秀
1
Junichi Wakisaka
1
,
Naohide Murakami
1
1久留米大学医学部脇坂外科教室
1Dept. of Surgery, Schocl of Medicine, Kurume, Univ.
pp.245-249
発行日 1963年3月15日
Published Date 1963/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201193
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I.緒言
冠循環に関する実験的並びに臨床的研究は日々進歩の一途をたどつており,特に心筋の物質代謝並びにこれに関与する酵素系に就いても多くの研究がなされている。しかし,これも冠静脈洞カテーテル法の進歩に負うところが大きい。Ecken—hoff1)等は犬に於て,更にBing2)等は人に於て冠静脈洞カテーテル法を施行して以来,心筋自身の代謝状態を直接知ることが可能となり,心機能の問題も代謝面から検討されるようになつた。
心筋の収縮という機械的仕事に要するエネルギーは,心筋内の生化学的反応であり,そのエネルギー源は主として糖質の燃燒によつてなされている。しかるに心筋に或る種の負荷を行つた場合,心機能に変動を来たすことは当然考えられ,その変動が糖質代謝にも反映されるものと思われる。そこで私共は手術時特に胸腔内手術時に屡々遭遇するハイポキシア,ハイパーカプニアが,心機能に如何なる影響を及ぼすかに就いて,糖質代謝の面から実験的に観察し,若干の新知見を得たので茲に報告する。
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