今月の臨床 CTかMRIか—婦人科腫瘍読影のポイント
子宮腫瘍
8.子宮腺筋症・子宮内膜症
石川 元春
1
,
星合 昊
1
1近畿大学医学部産婦人科
pp.66-72
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902013
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はじめに かつては異所性の子宮内膜による病態を「子宮内膜症」と総称し,子宮内にあるものを内性子宮内膜症,子宮外のものを外性子宮内膜症と呼んでいた.しかし,両者は異なった発生機序を持つ病態であるとの観点から,1993年に子宮内膜症取扱い規約1)が発表され,内性子宮内膜症(旧)を子宮腺筋症,外性子宮内膜症(旧)を子宮内膜症とそれぞれ表現することになり,混乱していた用語の統一が行われた.また,これに伴い卵巣子宮内膜症の中で嚢胞を形成したものを「卵巣チョコレート嚢胞(ovarian chocolate cyst)」と呼び,タール嚢胞(tarry cyst)や卵巣子宮内膜嚢胞(ovarian endometrioma)などの用語は用いないことになった(ただし,欧米の論文ではendometriomaという表現が一般的であり,chocolate cystという表現はあまり見られない).
子宮内膜症の直視的所見分類は子宮内膜症によって直接引き起こされる所見(一時所見)と間接的に生じた所見(二次所見)とに分類されている(表11)).この多彩な病変の中で,ある程度画像診断で子宮内膜症と推測し得るものは卵巣チョコレート嚢胞のみであり,その他の病変に対しては画像診断の限界を超えている.
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