今月の臨床 CTかMRIか—婦人科腫瘍読影のポイント
卵巣腫瘍
9.嚢胞性腫瘍の診断と鑑別
喜多 恒和
1
,
菊池 義公
1
,
入江 俊之
2
1防衛医科大学校産科婦人科
2防衛医科大学校放射線科
pp.74-79
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902014
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はじめに 一般的に卵巣腫瘍を疑う患者に対しては,問診・内診に加え画像診断として超音波検査が通常の外来診療において施行可能であり,さらに血清学的腫瘍マーカーの測定により卵巣腫瘍の診断はおおむね可能と考えられる.しかし良性・悪性の鑑別,進行期診断および組織型の推定は困難なことが多い.CTやMRIは実際の腫瘍割面の肉眼的形態をよく反映する点で卵巣腫瘍の術前診断に有用であり,早期治療の必要性の有無や術式の決定に有力な根拠となり得る.
本稿では卵巣嚢胞性腫瘍に対するCTおよびMRIの有用性について,各々の腫瘍解析能の特性を中心に自験例を提示し解説するが,典型例の提示は文献1〜4)等を参照していただくとして,ここでは症例ごとに手術所見と比較しCTおよびMRIの長所・短所を検討することによって、今後の臨床上でのCTかMRIかの選択の個別化に役だてたいと考えている.
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