今月の臨床 子宮内膜症・腺筋症の外科的治療─機能温存をめざして
子宮内膜症・腺筋症の治療指針
北脇 城
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科女性生涯医科学
pp.1172-1177
発行日 2010年8月10日
Published Date 2010/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102441
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はじめに
子宮内膜症は,子宮内膜またはその類似組織が子宮以外の部位で増殖,発育し,機能する疾患である.これに対して,子宮腺筋症は子宮内膜またはその類似組織が子宮筋層内に存在する疾患である.両者は類縁疾患であり,従来それぞれ外性子宮内膜症,内性子宮内膜症と呼ばれていたが,現在では別の疾患として扱われている.子宮内膜症の発生機序には移植説と化生説とがあっていまだ不明であるのに対して,子宮腺筋症は1908年にCullen 1)によって提唱された正常子宮内膜の深部増殖説が一貫して支持されている.
しかしながら,両疾患ともに性成熟期女性に発生し,両疾患が合併することもある.疼痛と不妊という類似の症状をきたすことによって女性のquality of life(QOL)を著しく損ねる.そこで,本稿では両疾患を総合的に捉えて,これらの治療指針を整理していく.
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