産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン
腹腔鏡下の骨盤内癒着剥離
堤 治
1
1東京大学
pp.1511
発行日 1994年12月10日
Published Date 1994/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901997
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内視鏡手術の進歩普及に伴い,子宮内膜症等で骨盤内癒着が高度な場合でも腹腔鏡下に卵巣嚢腫核出術や子宮全摘術が可能となってきている.開腹手術でもダグラス窩閉塞例等では難しく剥離面からの出血も大量になることもあった.腹腔鏡の応用はそういった症例でも開腹を必要としないばかりか,内視鏡の特徴を活かし,より安全で出血量の減少も計ることができると思われる.ここではそのために必須の癒着剥離のこつをお示ししたい.
癒着の剥離はその程度によりその方法も異なる.膜様癒着等軽度な癒着の剥離は鋏鉗子で切断する.その場合も必ず把持鉗子で剥離部位を展張させ,スコープを接近,血管の無い部分をすこしずつ切断する.中等度以上の癒着の場合,把持鉗子2本を用い切断予定部位をやや強く展張せしめ,レーザーないし電気メスモードにした鋏鉗子を用い,切断と鈍的剥離を繰り返しつつ慎重に進める.KTPレーザーの場合チップ先端を接触(contact)ないし近接触(near-contact)で切開切断,それ以上離す(non-contact)と凝固が可能である(図).電気メスの場合も切開と凝固モードを使い分ける.
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