今月の臨床 難治性合併症を診る—婦人科
難治性不妊症
14.ゴナドトロピン抵抗性卵巣
宮川 勇生
1
,
河野 康志
1
,
楢原 久司
1
1大分医科大学産婦人科
pp.1228-1229
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901915
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不妊症の原因のなかでも無排卵症などの視床下部・下垂体・卵巣系の内分泌機能障害に対する治療法は,clomiphene citrateをはじめbromo—criptine, human menopausal gonadotropin(hMG),human chorionic gonadotropin(hCG),gonadotropin releasing hormone(GnRH)などの薬剤の開発により,大きく進歩した.しかし,hypergonadotropicで卵巣に障害のある症例では自然排卵は見られず,またgonadotropin(Gn)療法による排卵誘発も無効で,臨床的には卵巣性無月経,早発卵巣不全と呼ばれ,卵巣機能の回復,妊娠は不可能と考えられてきた.しかし,このような閉経後と同様の臨床症状,内分泌動態を呈する症例のなかに卵巣に卵胞が存在し,まれではあるが排卵可能な症例があることが判明し,gonadotropin resistant ovary syndrome[ゴナドトロピン抵抗性卵巣(症候群)]と呼ばれている.
本稿では,その歴史,病態生理,病因,臨床症状そして治療法について述べる.
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