今月の臨床 ゴナドトロピン--今日の焦点
絨毛性ゴナドトロピンについて
東條 伸平
1
,
望月 真人
1
,
都倉 康正
1
,
足高 善彦
1
Shimpei Tojo
1
1神戸大学医学部産科婦人科学教室
pp.659-667
発行日 1968年8月10日
Published Date 1968/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203921
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序論
絨毛性gonadotropin(以下HCGと略記)に関する研究は,1920年広瀬1)の胎盤ホモジネートを家兎に投与して人工黄体を発来せしめた研究にはじまり,臨床的には尿中HCGを検出する多くの妊娠反応や,あるいは卵巣機能異常症の治療に広く利用されて現在に至つているが,従来よりその研究の主力が臨床的な面に注がれたために,糖蛋白体であるこのホルモンの複雑な諸性格や妊娠個体における意義に関する研究は他の蛋白ホルモンの研究に較べてはるかに遅れているといつてもよい。ところが最近における蛋白化学,ならびに免疫化学の進歩に伴い,糖蛋白ホルモンとしてのHCGの性格が次第に明らかになりつつあるので,ここであらためて近時とくに発展した研究分野の概要と,われわれの研究成績を併せて述べてみたい。
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