今月の臨床 難治性合併症を診る—婦人科
術後の難治性合併症
15.創傷離解
川村 泰弘
1
1大阪逓信病院産婦人科
pp.1230-1231
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901916
- 有料閲覧
- 文献概要
創傷離解とは縫合した術創が一次癒合せず,その一部ないしは全部が離解することをいい,術後の消化管吻合部の破裂や腹壁術創の離解,会陰縫合術創の離解などを指す.婦人科手術のうちでは切除範囲の広い外陰癌手術の術創などで生じやすく,その防止のために種々の工夫がなされているが,ここでは一般的に遭遇する機会の多い開腹術後の腹壁術創離解について述べることにする.
開腹術後の腹壁術創離解の発生頻度は外科領域で0.35〜3.5%とされ,術創汚染度の小さい婦人科手術では比較的少ないが,術後合併症のなかでも最も起きてほしくないものの一つである.というのは,腹壁創傷離解の内には不可避的な原因によるものも含まれるが,婦人科手術では多くの場合,注意深い手術操作や術前・術後管理によって予防し得ると思われるからである.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.