連載 産科外来超音波診断・3
子宮外妊娠の超音波診断
清水 卓
1
Shimizu Takashi
1
1清水産婦人科医院
pp.681-684
発行日 1994年5月10日
Published Date 1994/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901756
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子宮外妊娠の頻度は,全妊娠の1〜1.5%とされ,その95%以上は,卵管妊娠とされる.子宮外妊娠(EPと略す)の診断は,誤診や診断の遅れが致命的な結果に導く可能性もあり,われわれ産科医がつねに頭を痛める問題の1つである.EPの診断は,超音波検査によってのみなされる場合はまれであり,病歴,臨床症状,血中ないし尿中hCGや血中プロゲステロンの測定,ダグラス窩穿刺,子宮内膜試験掻爬,腹腔鏡などの検査を組み合わせることにより,その診断率は向上する.しかしながら,後3者は,患者にとって侵襲的な検査であることから,その施行に関しては,慎重な配慮を要する.そこで,より少ない侵襲での診断という見地から,超音波検査を中心とした診断がクローズアップされてきた.今回は,卵管妊娠の超音波診断について,概説する.
Timor-Tritschは,EPに対する超音波診断へのsystematic approachにつき,次のように述べている1).まず,子宮をスキャンし,次に卵管,ダグラス窩と検査し,最後に,まれであるがEPが起こりうる他の部位について検索する.今回は,卵管妊娠の超音波所見について述べるため,Timor-Trischらのapproachに従い,子宮,付属器部,ダグラス窩の各所見について,順次説明する.
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