産婦人科こぼれ話・6
子宮外妊娠と占師
中山 安
1
1東横病院
pp.52-55
発行日 1958年4月1日
Published Date 1958/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201459
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著名な神社やお寺に行つてみるとおみくじ箱が備えられている.四角や丸い筒に小さな孔があいて,そこから番号を書いた竹のヘラが出てくる.一心をこめて,ジヤラジヤラと打ち振つて鄭重におし頂き孔を下に向けると番号の竹のヘラが出てくる.その番号と引き替えにお札をもらうのである.凶だの中吉,或は吉,大吉などと大書した紙の下に縁談,失物,旅行,争事の善悪が書き込まれている.心をこめて運勢を,このおみくじに依つて知ろうとするわけで,その時の姿は無上の人格の現われであろう.神や仏の前には邪念らしい所はみえない.あの瞬間の気持を持ち続け得たとしたら必らず,その方は幸福であろうと想像するのである.
凶が出ると不愉快というわけで,こんどこそは大吉が出そうなもの,と,もう一度ためしてみるところがこのときは既に心中に邪念が湧いているから最早や神も仏も相手になさらぬであろう.
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