CURRENT RESEARCH
性ステロイドホルモンレセプターに対する長鎖脂肪酸およびリン脂質の作用
三橋 直樹
1
,
桑原 慶紀
1
1順天堂大学医学部産婦人科
pp.685-692
発行日 1994年5月10日
Published Date 1994/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901757
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ステロイドホルモンのレセプターの研究を始めたのは山梨医大の加藤順三先生の教室に入れていただいたのがきっかけでした.当時から加藤先生はステロイドホルモンレセプターの分野では世界でも最先端の仕事をされていました.レセプターのアッセイを練習中に,エストロゲンレセプターが不飽和脂肪酸で阻害されるという論文をみ,練習のついでに追試をやってみたのがこの研究の始まりです.もとから私はプロスタグランディンの生合成の仕事をしており,アラキドン酸などの脂肪酸,あるいはリン脂質などは扱いなれた物質でしたので,とっつきやすかったこともこの仕事を始めたおおきな理由です.当初は脂肪酸という単純な物質にこのような作用があれば,プロスタグランディンにも必ずステロイドホルモンレセプターに対するなんらかの作用があると思ったのですが,こちらに関してはまったく何の作用も見られませんでした.リン脂質や脂肪酸のように生体のエネルギー源あるいは細胞の構成成分で,生理的にはあまり作用の無いと思われていた物質にレセプターの阻害作用などがあることは大変興味のあることと思っています.
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