今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか
ARTの問題点
23.高齢婦人のARTをどうするか?
佐藤 孝道
1
1虎の門病院産婦人科
pp.190-193
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901619
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体外受精・胚移植(以下,IVF)の普及に伴った変化の一つに,不妊患者の高齢化がある.この背景にはもちろんわが国の妊婦の高齢化が挙げられるが,一方では,今まで挙児を実現する具体的な手だてがなかった夫婦にIVFが現実的な可能性を示したことも影響しているであろう.しかし,けっしてIVFがすべての夫婦に挙児の現実的な可能性を示し得ているわけではない.著者は,なお,二つの問題がほとんど未解決のままで残っていると考えている.一つは,高度の男性不妊でありこれについては別の著者が触れる.もう一つは卵巣機能不全である.高齢の問題のある部分は,この卵巣機能低下で説明できる.以下高齢婦人のARTの問題点と考え方について,当科の成績を基に述べるが,データによって対象期間が異なるために,症例数などに関して若干の数値上のずれがあることをお断りしておく.
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