特集 産婦人科手術のポイント
II.術前・術後の注意・管理
高齢婦人の手術と術前・術中・術後の管理
林 四郎
1
1信州大外科
pp.898-899
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205266
- 有料閲覧
- 文献概要
高齢婦人の手術にあたつて留意したい点
1.他臓器合併症の存在 男性,女性を問わず老人では手術の対象となる疾患のほかに各種の合併疾患を示すことが多い。もちろん普通の臨床検査でひつかからないような健康な肉体の持主もあるが,狭心症,心筋硬塞,高血圧症,動脈硬化症,慢性気管支炎,肺気腫,気管支喘息,肝硬変,腎硬化症,慢性腎炎,糖尿病,痛風などを合併している高齢婦人も多く,また脳卒中後の片麻痺に悩む老人でも手術の必要が生じる。このような他臓器合併症疾患の存在はとくに75歳以上の患者で多い1〜4)。
2.厳格な手術適応の必要性 このように心・腎・肺などの機能低下,合併症を示すことが多い高齢婦人であり,またこれらの異常が手術後の経過を左右するものであるので,いろいろな面で不利な条件をもつ高齢婦人に対する手術は絶対に必要なものに限定されるべきであり,手術の適応をとくに厳格にしたい。しかし一方では手術の実施について消極的なあまり,状態を悪化させたあとで始めて手術に踏みきる愚もおかしてはならない。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.