今月の臨床 新しい薬物療法をさぐる
薬物療法プラクティス
7.抗癌剤(カルボプラチン)の腟坐薬投与法の実際
秋本 晄久
1
,
平野 由紀夫
1
,
洲脇 純三
2
,
谷口 治子
2
1岡山済生会総合病院産婦人科
2岡山済生会総合病院薬剤科
pp.35-37
発行日 1994年1月10日
Published Date 1994/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901569
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婦人科悪性腫瘍に対する化学療法としての白金製剤は,効果的であり臨床上広く使用されている.第I世代の白金製剤であるシスプラチン(Cis—diamminedichloroplatinum(Ⅱ),CDDP:商品名,ブリプラチン,ランダ)は,強力なる抗腫瘍効果を認める反面,腎に薬剤が集中して腎障害を来たしやすく,その予防のために大量の水分補液が必要である.また,悪心・嘔吐・全身倦怠などの消化器障害に対する対策も必要である.このシスプラチンの抗腫瘍効果を弱めることなく,腎毒性などの軽減目的で,第II世代の白金製剤であるカルボプラチン(Cis-diammine−1,cyclobuta—nedicarboxylateplatinum (Ⅱ),CBDCA:商品名パラプラチン)が開発された.カルボプラチンは,腎毒性,消化器毒性は,軽減されたが,血液毒性が強い.この障害を軽減するために,カルボプラチンを腟内投与することにより,全身の毒性の軽減と局所における抗腫瘍効果の増強が期待できる.今回われわれは,悪性腫瘍の局所再発例が多いことに着目して,婦人科悪性腫瘍再発例に,カルボプラチン腟坐薬の投与を試みたので報告する.
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