今月の臨床 頸癌,体癌—診療の現況
診断
6.子宮頸部腺癌診断上の問題点
東岩井 久
1
Hisashi Higashiiwai
1
1仙台市立病院産婦人科
pp.1408-1409
発行日 1993年12月10日
Published Date 1993/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901535
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子宮頸部腺癌は,その組織発生や自然史および進展様式などについての知見がいまだ少なく,治療の面でも扁平上皮癌と比べ,放射線感受性が低く,予後不良であり,早期発見による手術療法が現在のところ最も効果の期待できる癌である。
宮城県対がん協会細胞診センターにおいて1966年から1990年までの25年間に実施した子宮頸がん検診総数は2,674,885例で,扁平上皮癌(上皮内癌を除く)の発見数は1,446例で頸部腺癌は145例であった。5年ごとに頸部腺癌の発見数と全頸癌比の推移をみると表1のごとくで実数のうえでも全頸癌に対する腺癌の頻度においても増加の傾向が認められる。発見された頸部腺癌の中の早期癌の頻度は年々増加しているもののその頻度は扁平上皮癌と比較してまだ低く,頸部腺癌の早期診断は細胞診,コルポスコピー,組織診のいずれにおいても扁平上皮癌と比べ難しい。以下それぞれの問題点について述べる。
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