今月の臨床 胎児環境をチェックする
双胎間輸血症候群
15.TTTSの新しい対策—子宮鏡下シャント血管凝固術
名取 道也
,
田中 守
,
野澤 志朗
Michiya Natori
pp.1314-1315
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901511
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TTTSの病態
双胎間輸血症候群(TTTS)とは,双胎間で一方の児から他の児へ血液の移動がおきることにより発生するさまざまな病態をいう。一卵性双胎の70〜75%が一絨毛膜性双胎であり,一絨毛膜性双胎のほぼ100%に血管吻合が存在する。しかしTTTSの発生頻度は全双胎の5〜15%であり,双胎のうち半数が一卵性双胎としてもTTTSが発症するのは血管吻合の存在する胎児の半数以下ということになる。血管吻合の存在と血液のシャントはイコールではないが,双胎間で児にとって有害な量の血液の移動が起きたための症状に対してTTTSと名づけられる。
TTTSにおける典型的病態として供血児の貧血とそれに伴う発育の低下,受血児における多血とそれに伴う体重の増大があげられてきた。しかしこれらの症状は一絨毛膜性双胎と二絨毛膜性双胎で発生頻度に差がなくTTTSの診断基準として不適切なことが指摘されている。臨床的に判断が必要とされるのは血管吻合やシャントの有無ではなく,血液のシャントの結果として治療を必要とする病態となっているかである。現在双胎間で児にとって有害な量の血液の移動が起きているかどうかの判断として現実的かつ有力なものは羊水量の違いの発生と胎児水腫であろう。
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