今月の臨床 胎盤異常と臨床
産科異常と胎盤病理
4.TTTSと胎盤血管吻合
吉田 啓治
1
1市立根室病院
pp.60-63
発行日 2000年1月10日
Published Date 2000/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903896
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TTTSとは
twin-to-twin transfusion syndromeの略で,本邦では双胎間輸血症候群とよばれている.簡単にtwin transfusion sydromeと記述される場合もある.一絨毛膜双胎で一羊膜性または二羊膜性を問わず胎盤内に2児間の血管吻合が存在するものの一部に発症する症候群で,その頻度は14.6〜38.1%と報告者1-4)により大きな差がある.すなわち,一方の児が供血側となり他方の児は受血側となって,供血児は貧血,心筋肥大,羊水過少となり発育遅延状態をきたし,受血児は多血心拡大,心機能不全,胎児水腫,羊水過多となり児体重の異常な増加をみることが多い.
その定義はまだ確立されていないが(表1),①出生時二児間の体重差が大きいほうの児に対し25%以上(20%とするものもある)あるもの,②出生時二児間の血色素量差が5.0g/dl以上のもの,③顕著な羊水過多(胎児水腫)と羊水過少(児はたいてい胎内死亡を起こしstuck twinとなる)を伴ったもの,④2児間に肉眼的に明らかに貧血と多血が認められる場合,⑤胎盤の2児のそれぞれの占有部に著明な貧血と多血が認められる場合などをTTTSとよんでいる.
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