今月の臨床 胎児治療—どこまで可能か
疾患と治療
19.胎児鏡下レーザー照射による双胎間輸血症候群の治療
名取 道也
1
,
田中 守
1
,
石本 人士
1
,
野澤 志朗
1
Michiya Natori
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.320-321
発行日 1992年3月10日
Published Date 1992/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900781
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双胎間輸血症候群とは,双胎の両児間に血管吻合が存在する場合に,一方の児から他方のり己へ血液が移行して供血児の貧血,受血児の多血がおこりそれにともなう様々な病態である。2卵性双胎では血管吻合は存在せず,1卵性双胎ではかなりの高率で血管吻合が存在する。しかし血管吻合の存在が双胎間輸血症候群に直ちに結びつくわけではなく,全双胎の10%に発生するといわれる。即ち血管吻合が存在しても,胎児の臨床症状が出現するだけの血液の移行が起きなければ双胎間輸血症候群を呈することにはならない。
双胎間輸血症候群は妊娠中期に発症した場合,周産期の死亡率は56-100%,生存児の有病率も非常に高値を示す重篤な疾患である。羊水穿刺,供血児の中絶,母体へのジギタリス投与等が対応策として報告されているが,有効な治療法といえるほどの結果は得られていない。
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