症例
妊娠性葉酸欠乏性巨赤芽球性貧血の1例
後藤 真千子
1
,
伊藤 誠
1
,
石川 洋
1
,
千原 啓
1
,
宇田 典弘
1
,
保條 朝郎
1
,
高田 亨
2
,
近藤 千華
2
,
釜付 弘志
3
Machiko Goto
1
,
Toru Takada
2
,
Hiroshi Kamatsuki
3
1聖霊病院産婦人科
2聖霊病院内科
3藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院産婦人科
pp.1135-1139
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901458
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本邦の妊娠貧血のほとんどは鉄欠乏性であり,葉酸欠乏性貧血はまれである。今回われわれは,元来大酒家で食事からの葉酸摂取不足に妊娠が加わり葉酸欠乏性巨赤芽球性貧血と溶血をきたしたと思われる症例を経験したので報告する。症例は37歳の1経妊未産婦で,25週で妊娠と診断されるまで毎日3〜4合飲酒していた。初診時末梢血検査で大球性の高度貧血(Hb 5.6g/dl)を認めた。血清鉄正常,葉酸値低下,ハプトグロビン高度低下,LDH上昇を認め溶血の存在が示唆されたが,溶血性貧血のスクリーニング検査はすべて正常であり,溶血の主因は葉酸欠乏と考えられた。禁酒と病院食摂取および葉酸投与により貧血は改善し,39週5日吸引分娩にて2,690gの男児を出産した。
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