特集 クリニック・在宅で診る血液疾患―できること,できないことを見直そう
[Chapter 3] クリニック・在宅診療でできる血液疾患の慢性期治療
専門施設からのメッセージ
鉄欠乏性貧血・巨赤芽球性貧血
大西 康
1
1東北大学医学部 血液内科学分野
キーワード:
経口鉄剤
,
静注鉄剤
,
ビタミンB12(VB12)
,
葉酸
Keyword:
経口鉄剤
,
静注鉄剤
,
ビタミンB12(VB12)
,
葉酸
pp.875-878
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_875
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★★肉や魚に含まれるヘム鉄(二価鉄)の吸収率は10~30%であるが,野菜・海藻・豆類に含まれる非ヘム鉄(三価鉄)の吸収率は1~8%と低い.
★★経口鉄剤は悪心などの消化器症状により継続できないことがあるため,少量から開始することも選択肢の一つである.
★★★経口鉄剤開始後2ヵ月時点で貧血の改善傾向を示さない場合には専門医へのコンサルトを検討する.
★★静脈鉄剤による治療では鉄過剰に陥らないよう,総鉄投与量を計算してから必要量だけ投与する.
★★★悪性貧血に対するビタミンB12(VB12)補充は経口と注射で明らかな差はないとする報告もあるが,注射による開始が標準的治療である.
★★VB12欠乏が併存すると葉酸の投与で神経障害が増悪することがあるため,葉酸補充の開始前にはVB12欠乏の有無を確認することが必要である.アルコール依存症では両者の欠乏がみられる.
★★★:一般内科診療で必要な内容,★★:総合内科専門医試験レベルの内容,★:専門性の高い内容

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