今月の臨床 治療にてこずる感染症
MRSA
16.MRSA肺炎
丹野 恭夫
1
Yasuo Tanno
1
1東北大学医学部第一内科
pp.1082-1084
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901441
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は重篤な院内感染症を引き起こすことと多剤に耐性のため治療に難渋することで注目を集めている。呼吸器感染症の診断においては通常,喀痰培養によって起炎菌を決定するが,その際,上気道内の常在菌による汚染が問題になる1)。S.aureusも本来皮膚や上気道に存在する常在菌の一つであり,喀痰培養で検出されたMRSAが真の起炎菌か単なるcolonizationであるかを決定するにはつねに慎重を要する。基礎疾患・合併症などの背景因子,発熱・血沈・白血球数・CRPなどの炎症サイン,喀痰の塗抹染色所見,胸部X線像などにより総合的に判断する必要がある。
ここでは,当科での経験も踏まえて,MRSA肺炎の診断と治療について述べてみたい。
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