今月の臨床 分娩前後の1週間
エマージェンシー・ケア
17.胎児仮死
荒木 壮
1
,
遠藤 力
1
,
佐藤 章
1
Takeshi Araki
1
1福島県立医科大学産婦人科
pp.561-564
発行日 1992年5月10日
Published Date 1992/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900849
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胎児仮死とは,日本産婦人科学会での定義(1972年)では「胎児・胎盤系における呼吸,循環不全を主徴とする症候群をいう」とされ,何らかの原因で胎児が低酸素状態に陥り,その結果循環不全状態となった場合をさすと解釈されている。しかし,胎児の低酸素状態も軽いものから,高度になり重度の脳障害に陥るものまで存在する。また,胎児は,母体循環,胎盤循環,臍帯などにより影響をうけ,胎児仮死の病態を一層複雑にしている。
胎児仮死の診断には種々の方法があるが,胎児の実際の状態を反映している方法はまだ十分確立されたものはない。また,治療についても,胎児仮死の程度の判定が不十分なため,急速遂娩になってしまうことが多いのも事実であろう。今回は,正期産の分娩中における胎児仮死の診断および治療について述べてみたい。
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