今月の臨床 産婦管理—on callに応える
分娩室
18.羊水補充療法
西島 正博
1
,
天野 完
1
Masahiro Nishijima
1
,
Kan Amano
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.970-971
発行日 1993年8月10日
Published Date 1993/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901407
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分娩時には,aorto-caval compression, cordcompression, uterine hyperactivityなどに起因する急性胎児仮死が生じ得るのでlow risk妊娠であっても胎児監視が必要になる。pathologicalな心拍数所見が出現した場合には,その原因を検索しつつ所見の改善を図ることになり,体位変換,子宮収縮の抑制,酸素投与,羊水補充療法などが行われる1)(図1)。羊水補充療法(amnioinfusion)は人工的に子宮腔内に生理的食塩水,もしくはラクテックリンゲル液を注入するもので,手技そのものは比較的簡単である(図2)。治療的あるいは予防的な目的で行われるが,絶対的なものではなく,他の方法との併用や,最終的には帝切も考慮した対応が必要になる。sev.variable decelera—tion, prolonged decelerationが頻発する場合や過期産,IUGR, PROMなどの羊水過少例,羊水混濁例などが適応となるが,late decelerationやvariabilityの減少など明らかな胎児仮死所見がみられる場合や胎盤早期剥離が疑われる場合は禁忌と考えられる。
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