今月の臨床 産婦管理—on callに応える
分娩室
15.分娩進行状態の把握と予測
山本 哲三
1
Tetsuzo Yamamoto
1
1札幌東豊病院産婦人科
pp.958-960
発行日 1993年8月10日
Published Date 1993/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901404
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分娩を管理する上で分娩開始からの経過時間と子宮口の開大度,児頭の下降度の関係を知ることはたいせつである。もちろん分娩の進行は娩出力,産道,胎児のいわゆる3要素の相関で決まるが,その所要時間もまた個人差が大きい。われわれは原則として分娩は自然の流れにまかせることにしているが,外来での経過と,入院時所見から各個の分娩進行状態を推測しそれから大きく外れる場合には早急に手を打つことにしている。この点から分娩の進行状態の把握と予測は産科医にとって重要な役務と言えよう。言うまでもなく分娩の流れは妊娠初期から継続しているわけで一時点で論ずることは難しいが,今回は分娩室でのことに限ってと論点を絞って当院での対応について述べたい。
陣痛室から分娩室への移動の時期は,初産か経産か,頭位か骨盤位か,単胎か多胎か,破水しているか否か等々産婦の状態によって,また各施設の事情(産科スタッフの力量,分娩室の状況等々)によって違ってくる。当院では上記の状況を加味した上で,子宮口が8cm以上開大,約1時間で分娩が終了すると予測されたときに分娩室に入室することになっている。仰臥位の分娩台を使用しているために分娩までに2時間以上かかることは居住性の悪さから産婦は不快を感ずるし,産後腰痛の原因ともなる。30分以内だと血管の確保や,消毒,分監の装着など分娩への準備に十分な時間が取れない。
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