今月の臨床 ホルモン補充療法;HRT
HRTの背景
6.尿失禁
桑原 慶紀
1
,
町田 正弘
1
Yoshinori Kawabara
1
,
Masahiro Machida
1
1順天堂大学医学部産婦人科
pp.818-819
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901363
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エストロゲンは,泌尿生殖系のみならず,中枢神経系,消化器系,副腎,骨などのエストロゲン受容体を持つ多くの臓器に作用して,その細胞発育や増殖を促進し,組織の活性を維持しているが,卵巣機能の低下に伴うエストロゲンの欠乏は,これらの諸臓器にさまざまな変調をきたす。長期間のエストロゲン欠乏の結果発症する骨粗鬆症や動脈硬化性疾患は,患者自身の苦痛が強く,直接生命に関わることで,以前から各分野での研究が盛んである。一方,生活の質の向上が問われるなかで,今まではある程度しかたのないことと軽視されてきた尿失禁を中心とする排尿障害がクローズアップされ,泌尿器科のみで取り扱えばよいというのではなく,われわれ産婦人科医が中高年婦人の健康および疾患管理の一環として積極的に取り組まなければならない一分野となった。
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