原著
高齢子宮頸癌患者の実態とその治療成績
山下 幸紀
1
,
石谷 敬之
1
,
橋本 昌樹
1
,
石郷 岡哲郎
1
,
和田 信一郎
1
,
服部 広太郎
1
,
石崎 善昭
1
,
兼元 敏隆
1
Kohki Yamashita
1
1国立札幌病院産婦人科
pp.427-431
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901252
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高齢子宮頸癌患者の実態をさぐる目的で,当院で過去22年間に治療された65歳以上の初回患者351例を対象に,臨床進行期分類,その予後,治療内容を検討し,同時期の65歳未満患者1,620例と比較した。その結果,高齢者群では,0期,Ia期の患者は8.5%,Ib期10.0%と,若年者群の41.5%,18.6%に比べ明らかに少なく,II期までの患者総数も,前者は50.7%,後者は77.0%と高齢者群では進行癌の比率の高いことが明らかとなった。このことが理由の1つと考えられるが,全体としての予後をみると,高齢者群の5年生存率は38.6%であり,若年者群の62.4%に比べ有意に低値を示していた。同一臨床進行期における予後をみても,高齢者群は低い傾向が認められたが,特にIb期,II期における根治手術施行例の頻度が低く,根治手術施行例同士の予後が両群に著変ないことを考えると,手術,放射線療法を間わず,治療の完遂度が予後に大きな影響を与えていると考えられた。
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