Current Research
アミン代謝と母体・胎児生化学の接点—ビタミンB6投与によるトリプトファン,チロシン代謝の変化
西島 光茂
1,2
Mitsushige Nishijima
1,2
1西島産婦人科医院
2前岩手医科大学産婦人科学講座
pp.421-426
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901251
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はじめに
TryptophanやTyrosineはアミノ酸として蛋白合成の素材となり,また完全燃焼してエネルギー源としても利用される。一方,その中間産物であるDopamine, Norepinephrin, EpinephrineなどのカテコラミンやSerotoninなどのインドールアミンは,生理活性物質であり,ホルモンや神経伝達物質として重要な役割を演じている。しかし母体と胎児の代謝に関する研究はいわゆるGlucosedependant paracyteの概念から,グルコースの供給を主題とした研究が多く,蛋白質の基本的な構成単位であるアミノ酸の代謝をアミン代謝とともに同時に測定し検討した研究はきわめて少ない。
本稿では,最近まで測定感度や検体必要量,検体処理の繁雑さなどにより非常に困難であったTryptophanとTyrosincのそれぞれの代謝産物を,一括して測定した資料をもとに(直列配列多極式クローメトリック検出装置,Neurochemを用いた),補酵素としてそれぞれの代謝に強く関与しているビタミンB6の測定を加え,それぞれの背景を項目別に述べながら,妊娠母体と胎児における代謝動態とビタミンB6を負荷したときの変化について概説する。
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