カラーグラフ 胎児・胎盤の生理と病理・16
致死型骨系統疾患(Ⅱ)
大薗 恵一
1
,
中山 雅弘
1
1大阪府立母子保健総合医療センター病理室
pp.343-345
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901224
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前回に引き続いて致死型骨系統疾患について記載する.
1.軟骨無発生症(Achondrogenesis)・軟骨低発生症(Hypochondrogenesis)典型的な四肢短縮型のdwarfismで,前者は2型に分類される.軟骨無発生症1型は軟骨内骨化と膜内骨化がともに障害されているのに対し,2型では軟骨内骨化のみが障害されている.そのため骨X線では1型にのみ頭蓋骨の骨化不良が認められる.脊椎骨.坐骨の骨化遅延は両型にみられる.長管骨は両型ともに極度に短く,1型では骨幹端に突出した棘を持っている.軟骨無発生症は羊水過多・胎児水腫の合併が多い.肺低形成は必発で生後早期に死亡する.病理組織的には成長軟骨帯の柱状構造は消失し,静止軟骨細胞は大きく,増加している.また,軟骨への血管進入が多い.1型では軟骨細胞内に封人体が見られるとされる.
軟骨低発生症は軟骨無発生症2型の軽症例であるが,脊椎・骨幹端異形成症とは違って,周産期致死性である.骨X線では椎体の異形成,恥骨・坐骨の骨化不良,長管骨の短縮が認められる.軟骨無発生症2型,軟骨低発生症,脊椎・骨幹端異形成症はいずれも2型コラーゲンの異常により起こることが明らかにされつつあり,これらの疾患が重症度は異なるものの単一原因によりもたらされる可能性が高いと考えられる.
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