今月の臨床 流産
治療
29.トコリーシスの応用と効果
遠藤 力
1
,
佐藤 章
1
Chikara Endo
1
,
Akira Sato
1
1福島県立医科大学産婦人科
pp.92-93
発行日 1993年1月10日
Published Date 1993/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901162
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切迫流産に対するトコリーシス
妊娠24週未満の妊娠の中絶を流産と定義する。妊娠初期の流産と比較的進行した妊娠の流産とでは,原因も流産の様式も異なるところから,妊娠12週未満の流産を早期流産,12週以降24週未満の流産を後期流産と分類している。初期流産がその原因の過半数を染色体異常が占め,この時期の切迫流産に対しては特定の治療法がないのに対し,後期の切迫流産には子宮収縮が関与することが多く,子宮収縮の抑制を目的としてβ2受容体刺激剤などの子宮収縮抑制剤が使用される。患者に流産,とくに後期流産の既往がなく,頸管の開大展退がない場合には経口による外来治療を行うが,できるだけ自宅安静を保つように指導する。これで収縮が抑制されない場合や頸管の開大展退がある場合には,入院のうえ収縮抑制剤の点滴静注による治療が必要である。また,頸管縫縮術を施行した後にも予防的に投与したほうがよい。一般的に妊娠中期の流産においては症状が乏しく,受診時すでに病状が進行していることが多い。定期検診の際に十分な対応を行っておくことが重要である。
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