今月の臨床 流産
治療
26.免疫療法の実際と問題点
前島 正基
1
,
藤井 知行
1
,
対馬 ルリ子
1
,
三橋 直樹
1
,
桑原 慶紀
1
,
武谷 雄二
1
Masamoto Maejima
1
1東京大学医学部産科婦人科
pp.82-84
発行日 1993年1月10日
Published Date 1993/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901159
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妊娠現象を移植免疫学的にみた場合,胎児は父系抗原をもった同種移植片とみなされ,母体の免疫反応により当然拒絶されるべき運命にあるはずである。しかし,実際は正常妊娠においては拒絶が起こらず,胎児は母体に寛容され子宮に生着することより,なんらかの免疫学的妊娠維持機構の存在が示唆される。近年,生殖免疫学の進歩により,習慣性流産患者に免疫療法が行われ,多くの生児が得られるようになった。この免疫療法の作用機序を明らかにすることは,免疫学的妊娠維持機構を解明することにつながる。
そこで,本稿では習慣流産に対する免疫療法の理論的背景を概説し,われわれの成績を含め免疫療法の実際と問題点について述べる。
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