今月の臨床 抗癌剤
疾患別治療指針
26.子宮頸癌
利部 輝雄
1
Teruo Kagabu
1
1岩手医科大学産婦人科
pp.1237-1240
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901047
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子宮頸癌の進展は,主として管内性,傍結合織浸潤およびリンパ行性であることから,治療の主体は,手術(広汎性子宮全摘術)あるいは放射線治療(外照射と腔内照射)である。また,子宮頸癌の約90%は扁平上皮癌であり,放射線による効果が期待されることから,術後の治療としても,まず放射線照射が選択されている。したがって,現在までの頸癌に対する化学療法の役割は,手術や放射線治療に付加される補助化学療法および寛解導入療法などである。これらの検討は,婦人科悪性腫瘍化学療法研究会により全国的規模ですすめられており,子宮頸がん第1次から第4次までの共同研究プロトコールの概略は表1,2のごとくである1)。
最近,頸癌の術中所見および摘出物の病理学的所見から,治療における高リスク群が明らかとなり,また,シスプラチンを含む抗癌剤の多剤投与が,これらの高リスク群の腫瘍制御に有効であることが知られるようになった。そこで,高リスクと考えられる症例を対象に,まず化学療法を行い,腫瘍の反応を期待し,根治手術,放射線治療の効果をさらに高めようとするprimary chemo—therapy, neoadjuvant chemotherapy,術前化学療法と,高リスク群における手術のさいの顕微鏡的な癌の取り残しや遠隔転移の予測される症例にまず化学療法を行う。
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