今月の臨床 抗癌剤
疾患別治療指針
25.子宮体癌,子宮肉腫
植田 政嗣
1
,
植木 実
1
Masatsugu Ueda
1
,
Minoru Ueki
1
1大阪医科大学産科婦人科
pp.1234-1236
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901046
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わが国における死亡原因は1981年以降,癌が第1位となり,その後も癌死亡は増加している。この中で全子宮癌の死亡数および率は1950年以降一貫して減少しており,これは子宮頸癌検診の普及によるものと考えられる。その一方で,子宮体癌の発生頻度は近年増加傾向がみられ,子宮癌全体の15〜20%,あるいは30%を超えたとの報告もあり,欧米化の傾向がうかがわれる。日産婦学会の全国集計によれば子宮体癌全体の5年生存率は81.4%と比較的高いが,発見された時には進行癌であったり,広汎な転移を伴う再発のため治療に難渋する例をなお多く経験する。子宮体癌の治療の原則はいうまでもなく手術療法であるが,術後の予後向上のための追加治療,手術不能例や再発例などに対し,新しい薬剤の開発や組み合わせの検索により化学療法が重視され,ホルモン療法についても検討されている1)。
一方,子宮肉腫は全子宮悪性腫瘍の0.3%とまれな非上皮性腫瘍であるが,その予後はきわめて悪い。本症においても手術が基本的な治療法であるが,手術不能例,不完全手術例,転移再発例には放射線療法や化学療法が行われる。しかし,いまだ決め手となる薬剤がないことから不幸な転帰をたどることが多い。
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