今月の臨床 抗癌剤
効果増強法
16.アンギオテンシンII(昇圧化学療法)
原田 誠
1
Makoto Harada
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.1209-1211
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901037
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卵巣癌は腹腔内にまん延しやすく,また癌性腹膜炎・腸閉塞で再発することが多いため,抗癌剤,とくにCDDPの腹腔内投与の効果や副作用が検討されてきた。
Baba, et al1)が,CDDPの作用をsodium thio—Sullate(STS)が解毒・中和することを報告して以来,CDDP IP投与後STSを静脈内投与して,流血中に吸収されるCDDPを中和するという二経路化学療法が実施されているが,STS中和作用がCDDPの抗腫瘍効果も減弱させることが懸念された。一方,佐藤ら2)は,AngiotensinII(AT-II)が作用すると正常組織血管は収縮するが癌組織血管は収縮せず,逆に拡張して血流が増大するという特性に着目して昇圧化学療法を実施してきた。私たちは卵巣癌の術後にAT-II併用下でCDDP・STS二経路化学療法を実施し,抗腫瘍効果の増強を試みているので紹介する3)。
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