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特集 循環器系薬剤の新しい視点—検証と展望
アンギオテンシンII受容体拮抗薬
Angiotensin II Type 1 Receptor blockade:Comparison with angiotensin-comverting enzyme inhibitor and those combination therapy
小泉 智三
1
,
百村 伸一
2
Tomomi Koizumi
1
,
Shinichi Momomura
2
1千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学
2虎の門病院循環器センター内科
1Department of Cardiovascular Science and Medicine, Graduate School of Medicille, Chiba University
2Division of Cardiology, Cardiovascular Center, Toranomon Hospital
pp.127-132
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902419
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はじめに
レニン・アンギオテンシン(RA)系の研究は1898年TigerstedtとBergmalmによって,ウサギ腎皮質の抽出液から昇圧作用を有するレニンが発見されたことより始まった.その後,レニンそれ自体には昇圧活性はなく,レニンの作用により生じる昇圧活性物質が明らかとなり,1958年この物質がアンギオテンシンと命名された.1980年代,アンギオテンシン変換酵素阻害薬が登場してから,これまで知られていた血圧の調節や,水・電解質代謝のホメオスタシスだけでなく高血圧などの合併症の発症進展に深く関わっていることが明らかとなり,その生理作用の詳細な研究がさらに進んだ.また,1970年代に脳内レニンが発見されてから,腎外レニンの存在(顎下腺など)が明らかとなり,RA系の作用する標的臓器の体内分布が注目されるようになった.分子生物学的手法が開発されてからはレニン,アンギオテンシン変換酵素(ACE),アンギオテンシン受容体などの臓器局所での解明が進み,1990年代に入り,アンギオテンシンIIタイプ1(AT1)受容体,アンギオテンシンIIタイプ2(AT2)受容体が相次いで発見された.そして,現在ではRA系の議論は,各組織におけるこれら受容体のレベルでなされるまでになった.また,これらの受容体はいろいろな臓器に様々な比率で,病態に応じて制御されていることも解明されてきている.
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