今月の臨床 卵巣がん—疫学から治療まで
化学・放射線療法
33.術後照射の適応と現況
永井 宣隆
1
Nobutaka Nagai
1
1広島大学医学部産科婦人科学
pp.871-873
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900945
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卵巣癌の治療法は現在Cisplatin(CDDP)を中心とした多剤併用癌化学療法とsecond look ope—ration(SLO)を含む手術療法が主体であり,放射線療法の適応は減少しつつある。CDDPの登場はとくに上皮性卵巣悪性腫瘍の初回治療例に対し明らかな延命効果をもたらした。しかし,一方では卵巣癌再発例に対しては抗癌剤の薬剤耐性の問題も起こり,5年生存率の有意な上昇までは至っておらず,今後新たなneoajuvant chemotherapyの検討やsecond line chemotherapyの確立が望まれているのが現状である。
当教室では,上皮性,間質性卵巣悪性腫瘍64例に対し1975年より10年間,癌化学療法に加え術後照射としてMoving Strip(MS)法を行ってきた。そこで卵巣癌に対する放射線療法の治療成績を中心に報告する1,2)。
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